鉛筆の持ち方について その2 ~手の発達~
こんにちは!作業療法士の坂本です。
前回の記事でご紹介したように、基本的な運動機能の発達では、
①体幹に近い肩や股関節での運動 → 体幹から遠い指先などの運動、
②大きく体を動かす運動(粗大運動)→ 細やかな運動(微細運動)のように発達していきます。
今回は、指先の細やかな運動の発達についてご紹介します。
指先の細やかな運動発達の準備
肩やひじを動かさなくても、手のひらを上や下にパタパタと返すことができるようになったり、身体の横に肘をつけてもじゃんけんができるようになったりすると、鉛筆にチャレンジできるようになってきます。
まだ、鉛筆を持っていないお子さんも、身体の発達に合わせて準備段階にあると考えてみてください。
何かを書く(描く)ことへの興味・好奇心がとても大切なので、無理に鉛筆を持たせようとしなくても大丈夫です。
はじめは中指と薬指の間から鉛筆を握りこんで持つこと(挟み握り)も多いかと思います。
この段階では力加減をコントロールすることや、細かく鉛筆の先を動かすことが難しいと思われます。
無理に正しく持たせるのではなく、クレヨンなどの摩擦が大きく、力加減が分かりやすい道具を使って書く(描く)経験をすることが必要です。
そのほかにも、肘を支点に混ぜる活動(お菓子作り)を通して、力のコントロールができるようになります。
段階を経て鉛筆も正しく持てるようになります
さらに発達が進むと、指先の細やかな動きが求められてきます。
この段階から、鉛筆が正しく持てるかという複雑な段階になってくるのです。
肘や手首を自在に動かせるようになり、安定性が高まると、指先の力のコントロールができるようになります。
粘土を指先で丸めたり、つぶしたりという遊びや、糸にビーズを通す遊びも大きさや太さによって抵抗感が変わるので、指先の力のコントロールにつながります。
このような遊びを通して子どもたちの手は発達し、鉛筆も上手に使えるようになります。
鉛筆は正しい持ち方にこだわるべき?
これまでご紹介した通り、お子さんは遊びを通して多くのことを獲得していきます。
鉛筆の持ち方を矯正するための道具もありますが、物によってはお子さんの状態に適したものでない場合もあります。
持ち方の見た目が変わっても手の発達の準備ができていなければ、上手に鉛筆を使うことはできません。
このような理由でコグトレ塾では「鉛筆の持ち方」の矯正は行っていません。しかし、「手指の発達」は見ています。お子さんの鉛筆の持ち方が気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。
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参考文献
・尾崎康子;筆記具捜査における上肢運動機能の発達的変化.教育心理学研究,48,145‐153(2000)
・前川喜平;運動発達.脳と発達,4巻,6号,505‐513(1972)
・岩崎清隆,岸本光夫,鴨下賢一.『発達障害の作業療法 実践編』三輪書店