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知能検査WISC-Ⅳについて その2

こんにちは!作業療法士の長谷川です。

前回、WISC-Ⅳは何をみる検査かということをお伝えしてきました。
知能検査「WISC-Ⅳ」について① 知能について

今回は、その検査結果からどう支援に結び付けるのかということについて、お話ししていきたいと思います。

WISC-Ⅳの用語のまとめ

ここでもう一度WISC-Ⅳで出てくる用語をまとめています。あとで出てきますので、ご参考ください。

全検査IQ(FSIQ):全体的な知的能力の発達水準を推定する
言語理解指標(VCI):言語概念形成、言語による推理力・思考力、言語による習得知識
知覚推理指標(PRI):非言語による推理力・思考力、空間認知、視覚-運動協応
ワーキングメモリ指標(WMI): 聴覚的ワーキングメモリー、注意、集中
処理速度指標(PSI):視覚刺激を速く正確に処理する力、注意、動機づけ、視覚的短期記憶、筆記技能、視覚-運動協応

WISC-Ⅳから分かるお子さまのパターン

ではここで、全検査IQ(FSIQ)だけで判断すると支援がうまくいかない例を示します。
以下の4つのグラフは、全検査IQが同じ受験者のデータです。

パターン①のお子さんとパターン②のお子さんの大きな違いは、何でしょうか。
言語理解指標(VCI)と知覚推理指標(PRI)のどちらが高いかということですね。
これだけで支援は大きく変わります。

パターン①のお子さんは、視覚的な情報より、言語的な情報を用いて推論する方が得意です。新しいことを学ぶときに、グラフや図を多く用いると混乱してしまうかもしれません。視覚的な情報を言語化することで、理解しやすくなるでしょう。しかしワーキングメモリの弱さもあり、聞いたことをすぐ忘れたり、内容を理解するのに時間がかかることが推測されます。

パターン②のお子さんは、言語的な情報より、視覚的な情報を用いて推論する方が得意です。
グラフや図といった視覚的な補助があった方が理解しやすいでしょう。ワーキングメモリの弱さや処理速度の遅さもあり、忘れたときに参照できるプリントなどもあれば良いかもしれません。


パターン③のお子さんとパターン④のお子さんの大きな違いは、何でしょうか。
ワーキングメモリ指標(WMI)と処理速度指標(PSI)のどちらが高いかということですね。

パターン③のお子さんは、聴覚音声言語を処理する能力は高いので、聴覚的言語による学習は得意かもしれません。しかし言語の理解力が強くはないので、言葉による説明だけでなく、視覚的な補助も併用しながら、繰り返し学習して長期記憶への定着を促していくと良いでしょう。

パターン④のお子さんは、単純な視覚情報を正確に捉え、やり方とゴールが明確な作業課題を素早く正確に遂行することは得意です。言語の理解力やワーキングメモリが弱いので、指示などは一度に一つだけにし、このお子さんがわかる言葉で簡潔に伝えることが必要です。また、視覚的な補助として具体的な見本を提示すると良いかもしれません。

これらのように、全検査IQ(FSIQ)が同じでも、お子さんの得意な部分と苦手な部分は違います。

パターン分けすることが大切なのではありません

分かりやすいように今回はパターンで示しましたが、実際にはこのようなパターンで決められるものではありません。苦手な要素の程度もそれぞれ違いますし、その要素の中でもバラつきがあります。またお子さんごとに、生活の中や学習の中で求められていることや苦手なことは異なります。
検査結果を総合的に解釈していくことで支援の方法が見つかります。

WISC-Ⅳはお子さんの傾向をつかんで、どのように支援したらよいのかを知るための検査と考えておきましょう。

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参考文献

日本版WISC-Ⅳによる発達障害のアセスメント 代表的な指標パターンの解釈と事例紹介

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