ワーキングメモリ指標について~WISC-Ⅳより
こんにちは。コグトレ塾です。
これまでWISCの概略について、言語理解視標、知覚推理指標についてお話してきました。
(過去のブログをご参照ください。)
-WISC-Ⅳについてその1(https://cogtorejuku.jp/2020/05/28/wisc-4-1/)
-WISC-Ⅳについてその2(https://cogtorejuku.jp/2020/06/04/230/)
-言語理解指標について(https://cogtorejuku.jp/2020/07/21/wisc-vci/
-知覚推理指標について~WISC-Ⅳより(https://cogtorejuku.jp/2020/08/07/wisc-4-pri/)
WISCには4つの指標(言語理解・知覚推理・ワーキングメモリー・処理速度)があります。
今回はその中で、ワーキングメモリ指標(WMI)について、少し詳しくみていきたいと思います。
WMIは、聞いた情報を記憶に一時的にとどめ、その情報を操作する能力を測定する指標です。
WMIの弱さは学習にどう影響するのでしょうか?
WMIは聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する 全ての領域のつまずきと関連があります。
もう少し具体的にイメージしてみましょう。このような困りごとはありませんか?
□複数のことを言われるとわからなくなる。
□他のことに注意が向いて聞き洩らしてしまう。
□問題を最後まで読まずに、パッと答えを選んでしまう。
□順序立てて話すことが苦手。
□文章理解が苦手。
□単純な計算はできるけど、文章題が苦手。
□複雑な計算が苦手
Aさんは記憶しながら考えることが苦手です。
先生から言われた課題の手順を覚えておくことができず、
1つやったら次に何をしたら良いのかわからず、
キョロキョロと周りの友達のやっていることを見ています。
また文章理解が苦手です。
文章を読むことに必死になり、内容があまり頭に入ってこないので、何度も読み返さないといけません。
WMIの低さがある場合、環境面の工夫が必要です。
お子さんの記憶を助けるために確認できるようなプリントや、注意や集中が続くように不要な刺激を減らすことも良いでしょう。
ちょっとここで塾に通われたお子さんのお話を紹介します。
コグトレ塾では、お子さんの苦手な要素に合わせてトレーニングを行っています。
ある生徒さんは「文章を読んで理解できるようになった」「忘れ物が減った」「先生や親に聞いていないと言われることが減った」と教えてくれました。
もちろん全てがコグトレの効果であるということはできませんが、学校や家での頑張りが、さらに実を結ぶようにコグトレ塾として支援をしていきたいと思います。
<参考文献>
上野一彦, 松田修, 小林玄, 木下智子:日本版WISC-Ⅳによる発達障害のアセスメント 代表的な指標パターンの解釈と事例紹介. 日本文化科学社, 2015
日本版WISC-Ⅳ刊行委員会:日本版wisc-Ⅳ補助マニュアル. 日本文化科学社,2014
松尾太加志 編:認知と思考の心理学. サイエンス社,2018