「処理速度」指標について~WISC-Ⅳから~
こんにちは!作業療法士の長谷川です。
WISC-Ⅳの復習と過去の記事のリンクまとめ
以前にWISCとワーキングメモリーについてお話ししました。
(過去のブログをご参照ください。)
–WISC-Ⅳについてその1
–WISC-Ⅳについてその2
–「言語理解」指標について
–知覚推理指標について
–ワーキングメモリーについて
WISCには4つの指標(言語理解・知覚推理・ワーキングメモリー・処理速度)があります。
今回はその中で、処理速度指標(PSI)について、少し詳しくみていきたいと思います。
PSIは、単純な視覚情報を素早く正確に、順序よく処理、あるいは識別能力を測定する指標です。
PSIの弱さは学習にどう影響するのでしょうか?
「処理速度=PSI」について
PSIは、視覚情報を早く正確に判断し、その結果を早く正確に書く力や、視覚性短期記憶、動機づけや注意の持続力が反映されます。
この力が低いと、読み書きが難しかったり、思考の柔軟性や切り替えが困難になります。板書の書き取りが苦手だったり、一つ一つの課題を終えるのに時間がかかってしまいます。
もう少し具体的にイメージしてみましょう。このような困りごとはありませんか?
□書くのに時間がかかる。
□時間配分をたてることができない。
□集中力が途切れやすい。
□やる気が途切れやすい。
□板書の書き取りが苦手。
□せかされるとミスが増える。
□思考の切り替えがうまくできず、混乱すると立て直すことが難しい。
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Aさんは早く課題をこなすことが苦手です。
テストのときは制限時間内に最後の問題までたどりつけず、もう少し時間があれば解けたのに・・・といつも自分自身に腹が立ちます。
宿題をこなすのに時間がかかり、見たかったテレビ番組もおあずけです。
PSIの低さがある場合、環境面の工夫が必要です。
時間的なプレッシャーをかけないように書くための時間を十分にとったり、プリント配布をして書く量を減らしたり、課題の量を減らすなどです。
集中が続くような環境面の配慮も必要です。
処理速度が低かったお子さんがトレーニングを通してできるようになったこと
ちょっとここで塾に通われたお子さんのお話を紹介します。
コグトレ塾では、お子さんの苦手な要素に合わせてトレーニングを行っています。
ある生徒さんは「学校の宿題が以前の半分の時間でできるようになった」「頭の回転が早くなった」「頑張らなくても黒板が写せるようになった」と教えてくれました。
もちろん全てがコグトレの効果であるということはできませんが、学校や家での頑張りが、さらに実を結ぶようにコグトレ塾として支援をしていきたいと思います。
参考文献
上野一彦, 松田修, 小林玄, 木下智子:日本版WISC-Ⅳによる発達障害のアセスメント 代表的な指標パターンの解釈と事例紹介. 日本文化科学社, 2015